私(新川あや)は彼を好きになれそうにない。

でも、帰る方向は同じだから一緒に歩いている。



「好きなんだけど……付き合って」

真っ直ぐに見つめられて言われた。



4回も告られても付き合えないと思った。

蒼(田端蒼)は背が高いけど、痩せすぎててひょろひょろしてモヤシみたいだし。

困るだけで。



「ごめん、ムリ!!」

はっきりと言った。


「……」

無言で蒼は唇を噛み締めて頷いた。

今にも涙がこぼれ落ちそうに瞳が潤んでた。



4回も同じ人に告るって、どんな気持ちなんだろう?

私には考えられない。

諦めるよ普通。



でも切り替えは早くて告白してすぐに、何もなかったみたいにどうでもいいテレビの話なんかをしてくる。

そういうのが不思議だったりする。

普通は気まずくて一緒にいないでしょ。



「昨日のイッテQ見た?

中岡めっちゃ面白かった!

あの転びかたありえなくない?」


蒼はそう言って笑った。

先ほどまで泣きそうだったのに。



私は頷く。


中岡はめっちゃ風に飛ばされそうになって髪の毛がなびいて大きく転んだ。

飛ばされないように必死だった姿も思い出すと笑える。



けどさ、今私は蒼のことフッたんだよね?

わかってもらえたんだろうか?

恋しかないのかな?

蒼とは友達だったら上手くやれそうなのに。