「来てくれてありがと!」

「ほんとにな…」

「生理中だからエッチできないよ」

「しねえよ…」



同じホテルじゃなくて良かったと安心してたのに。



こっから朝まで、理性との勝負…。



耐えられるのか、俺…。



「飛行機の中で寝なかったのか?」

「そのつもりだったんだけど、あたし枕が変わると眠れないタイプなんだよね。アスリートは睡眠も大事なのに…」



穂風はそう言って、俺の腕を引っ張る。



そのままベッドまで連れてこられた。



「寝よ?」

「…」



俺、試されてるのか…?



まじで理性がぶっ壊れそう。



元々こんな我慢するタイプの人間じゃないからな?



俺の部屋にあるやつの3倍くらいありそうなベッドに入り込んだ。



穂風が俺の胸にすり寄り、顔をつけて俺の顔を上目遣いっぽく見る。



死ぬ…。



童貞が主人公のエロ漫画みてえだ。



気を紛らわすため、穂風の頭に手を置いてこめかみあたりを親指で撫でながら、今日アンディがしてた話をした。



穂風のサーフィンの話。



話を聞いた穂風が喜ぶ。



「嬉しい…」

「俺もなんか嬉しかったわ」

「あのね、あたし、夏葉が良いなって思ったのは、親のこと抜きにあたしのことまっすぐ見てくれてるのが伝わったからなの」

「へえ?」

「アンディのことも好きになりそう…」

「おい」



穂風が声をあげて笑った。



それから俺の唇に一瞬キス。



「冗談だよ」

「当たり前だろ」

「へへ」



穂風はそう言ってから目を閉じて、「おやすみ」と言って更に俺にくっついた。