海よりも深くて波よりも透明

立食形式のごはんを少しずつつまみながら、たまにお偉いさんから話しかけられて。



親の話めちゃくちゃされる…。



親は親であってあたしはあたしなんですけど!?



早く夏葉来ないかな、疲れたよー…。



そんなことを考えながら一人で隅の方でケーキを食べていたら、ふいに手に持ったフォークが誰かの口の中に…。



「夏葉!?」



横に夏葉が立ってる。



スーツだ…。



めちゃくちゃかっこいい…。



普段見ることのない夏葉のスーツ姿にドキドキした。



いつもはラフな感じだもんね。



「わりい、遅くなった」

「おつかれ! かっこいいね」

「そりゃどうも。穂風もすげえ綺麗だな」

「夏葉のためにドレス選んだ!」

「それ最高だな」



好き~…。



パパとママに挨拶するという夏葉を2人の所に連れて行った。



コバルトブルーのドレスを着てるママと、びしっと高級ブランドのスーツを着てるパパはかっこよくてすごく目立ってる。



ママがあたし達に気づいた。



「夏葉じゃん」

「お久しぶりです」

「いつも早めに家帰してくれてありがとね」

「いえ、大事な娘さんお預かりしてるので」

「あたしあんたのこと今のところかなり気に入ってるよ」




ママに夏葉気に入られると嬉しい!



一方、基本口数が少ないパパはじっとそのやりとりを黙って見てるけど…。



でもパパも結構気に入ってるよね。



この前一瞬うちに夏葉が来たときにまた来いって言ってたし。



彼氏が親に気に入られるって想像以上に嬉しいんだね。



しばらくパパとママと話してから、2人と別れた。



「緊張した~…」

「夏葉も緊張とかするんだ」

「当たり前だろ。岩崎龍臣と川村そよ子な上に彼女の親だぞ!?」