海よりも深くて波よりも透明

あたしがそう言ったら、夏葉はすごくしっかりしているとママが喜んだ。



良かったね、夏葉。



あたしの親の信頼、確実に得てるよ…。



なんだかほかほかした気持ちのまま、夏葉と電話をしてから眠った。



次の日は朝からMAKANAの新商品の広告を撮りに都内のスタジオ。



宣伝用の写真と、web広告用の動画も。



あとは普段のサーフィンしている姿と合わせてテレビでもCMが放映される。



「お疲れ様でしたー」



昼過ぎに撮影が終わって、用意してくれたお弁当をスタジオの隅で食べてたら、昔からお世話になってるMAKANAのスタッフさんが来た。



手に何か封筒を持ってる。



「穂風ちゃんお疲れー」

「お疲れ様ですー。どうかしましたか?」

「うん、今年、MAKANAが50周年ってことで記念パーティー開催するから、穂風ちゃんに招待状、会社から預かってきた」



そう言ってあたしに持っていた封筒を渡してくれた。



開くと、『パートナー同伴可』と書いてある。



「45周年のときもパーティーやったの覚えてる? 同じ会場だよ」



そういえば家族で行ったなあ…。



パーティー会場の敷地内の庭園の隅に綺麗な花園があった気がする。



すごく綺麗だったのに人が全くいなくて穴場だったっけ…。



パートナー同伴可なら夏葉連れてこーっと。



お弁当を食べてから、最近通い始めた車の教習所へ。



サーファーは車ないと不便だからね。



終わってからは夏葉の家!



2回目の家は前とほとんど変わってない。



古いし狭いけど綺麗でおしゃれな部屋。



一つだけ変わってるのは、壁に吊してある写真にあたしの写真が増えたことだ。



夏葉があたしをサーファーとしても気に入ってくれているのが嬉しい。



今は、あたしがマットレスでくつろぎながらテレビを見てる一方で、夏葉がキッチンに立って何か作ってくれてる。



夜ご飯を振る舞ってくれるらしい。



夏葉の手料理~!



あ、そういえばパーティーのことまだ言ってないや。



「夏葉~」



何か炒めてる夏葉にマットレスから声をかける。