海よりも深くて波よりも透明

~穂風~

付き合いたいと思った矢先、夏葉と会う頻度も連絡の回数も減ってしまった。



メッセージ送っても全然既読にならないし…。



落ち込みながらも毎日を過ごす。



それが今日、2限も終わりかけの時間、突然夏葉からの通知。



それも『学校終わったあと空いてる?』の文字…。



「え!?」



思わずガタッと席を動かす。



クラス中から視線を浴びる。



やば…。



慌てて縮こまって、動揺しながらもスマホを開いた。



早く返したい…。



でも文字を打とうとした瞬間、目の前には先生が…。



「岩崎、最近授業中にスマホ見過ぎ」

「え~…」

「今日はさすがに没収します。放課後取りに来て」



嘘でしょ…。



せめて返事返させて…。



あたしの抗議も虚しく、今日一日スマホを取り上げられてた。



放課後になって急いで職員室へ。



「今後は気をつけなさい」

「はーい…」



鬼担任…。



返してもらったスマホを急いで開いた。



さっきのトーク画面のままだ。



『今日学校終わったあと空いてるか?』



やっぱり間違いじゃない…。



でも、この時間まで返事できなかったから、さすがにもう無理だよね…。



かなり落ち込んだ状態で学校を出た。



うつむき気味に歩くと、人にぶつかる。



「すみま…」

「お前なに既読無視してくれてんの?」



嘘…。



よく聞き慣れた低い声。



なんで…?



「夏葉…」



顔を上げると、そこにいたのは夏葉だった。