「でも夏葉はそういうの全くない」
「…」
「むしろ真剣に相手のこと考えてるし大切に思ってんじゃん。それはガチで重要なことだとあたしは思うけど。だって適当な人だったら穂風のことなにも考えずにその好意につけこんですぐ付き合うだのなんだの言うっしょ?」
リアルは一通りそう言って席を立った。
どうやら学校の最寄りらしい。
「じゃーね。自分の気持ちもっかい向き合ってみて」
そう言ってから電車を降りていったリアル。
残された俺…。
自分の最寄りに着いて、家に帰ってシャワーを浴びる。
脳内に写るのは穂風の顔とリアルのさっきの言葉。
くそ…。
風呂場から出て、半裸でスマホを片手に持つ。
『今日学校終わったあと空いてるか?』
覚悟は決めた。
穂風としっかり向き合う。
なのに…。
送ってから数時間。
返事来ねえし…。
一応画面を確認すると、ついてるのは『既読』の文字。
見てんのかよ…。
弄ばれてる?
でももう決めたから。
返事が来ないまま、車を走らせた。



