海よりも深くて波よりも透明

「(愛姫、夏葉といつから知り合いなの?)」



受付に向かって歩きながら、さりげなく愛姫に聞いた。



「(夏葉? うーん…1,2年前かな)」



結構長いんだ…。



なんかショックというか、モヤモヤする~…。



「(結構仲良い?)」

「(連絡取ったりはしないけど、仲良いとは思うよ)」



そうなんだ…。



でも、連絡取ったりしてないのか。



その点で言えば、あたしの方が仲良いって言える?



無理やり自分を安心させようとしているのが自分でもわかる。



う~…。



受付に行ったら悠星くんも受付中だった。



「おー穂風」

「悠星くん」



悠星くんが、あたしの隣の愛姫を見た。



「この中学生、誰?」



悠星くん…。



愛姫はあたしと同い年なんだけど…。



確かに童顔で背も低いけど…。



ていうか愛姫、そこそこ有名なはずなのにな。



「(穂風、こいつ今あたしのこと中学生って言った?)」



愛姫が怒った顔であたしに英語で言った。



こいつって言ってるし。



「うお、英語喋った」

「悠星くん、この子、愛姫。あたしと同い年だよ」

「は? 同い年? 5歳くらい年の差あるように見える」

「…」

「あー、もしかして島田花枝の孫? 確かそんな感じの変な名前だったよな」



悠星くんってなんでこうなのかな…。



悪気がないのがまたタチが悪い。



愛姫がますます怒った顔をしてる。



そして悠星くんに英語で吠えた。



翻訳できないような悪口…。