「これここ押したらいいの?」

「ああ」

「はーい。ピース」



リアルの緩い撮影により何枚か撮られていく。



「チューでもすれば~?」



はあ…?



適当だな…。



って、穂風が乗り気だし…。



「いいじゃーん」



穂風がニコニコと俺を見てる。



しょうがねえな…。



穂風の後頭部をぐいっと引き寄せてキスした。



「こんなんもうしねえからな…」

「んふふ」



穂風が嬉しそうだ。



リアルもにやにやしてる。



まあいいか…。



それから無事撮影は終了。



後日仕上がった写真を穂風の家に持って行った。



「やっぱあんた腕いいねー」



そよ子さんが嬉しそうに写真を見ていく。



「って何コレ」

「うわっ」



キス写真は抜いてくるべきだった…。



そよ子さんが呆れた顔をしてる。



「いや違うんすよ…」

「いいよいいよ。こういうのも必要だし」



バカップルみてえじゃねえか!



くっそー…。



穂風が「いいじゃん」とのんきに言ってくる。



彼女の親にキス写真を見られる気持ちも知らず…。



そよ子さんが何枚かフォトフレームに入れた。



「撮影ありがと。おかげでいい写真できたわ」

「いえ、こちらこそ穂風の振袖写真撮らせてくれてありがとうございます。すげえ嬉しかった…」

「向こう行っても頑張りなよ」

「はい、ありがとうございます」



実は穂風の写真は自分用にも用意した。



手帳にも挟んでるしスマホのホーム画面にもしたりして…。



やっぱバカップルかも…。



だってしばらく会えなくなるし。