穂風に一瞬キスをして、頭を撫でた。



照れたように笑った穂風は、車から降りて行った。



家の中に入る穂風を見届けてから、車を出して、俺も家に帰る。



今はまだショートだけど、ロングもいつかまた出来るようになるといい。



そんな気持ちで家に着くと、スマホに着信。



見ると…アンディ!?



慌てて電話に出た。



「Hi, Natsuha(やあ、夏葉)」

「Andy? What’s up? (アンディ? どうしたんすか?)」

「(実は、今俺の友人のリアムと飲んでて、夏葉の話になってね)」



リアム!?



リアムってまさか…。



「(リアム・ミラーっすか…?)」

「(そうだよ)」



さらっと言うアンディ。



いやいやいや…。



リアム・ミラーは、サーフ界では超有名な世界的なカメラマン。



リアムに撮影されたいサーファーが山ほどいるくらいの…。



そんな人とアンディが友人で、俺の話をしてた…?



「(今実は日本に来てるんだが、今から来ないか?)」

「は…?」



突然すぎて思考が停止。



思わず日本語で反応する俺。



どういう状況だ…?



「(夏葉? 聞こえてるか?)」

「Y…yes…」

「(じゃあ、待ってるから)」



そう言って場所だけ告げられ切られた電話。



まじかよ…。



驚きすぎて自分が今どんな感情なのかもよく分からない。



とりあえず…行くしかねえ…。



東京だから今から車で行ったら一時間ちょっとかかるけど…。



何も考えず車に乗った。



運転しながら、ハンズフリーで穂風に電話をかける。



≪はーい≫



いつも通りの穂風の声。