海よりも深くて波よりも透明

穂風が嬉しそうに現像した写真をスマホに撮った。



「何してんの?」

「アイコンにする~」



どうやらSNSのアイコンにするらしい。



出来上がったオムライスの皿を穂風の待つテーブルへ置く。



「気に入ったか」

「超」

「やっぱ海の穂風が一番輝いてんな」

「ありがと!」



ニコニコしながら、「いただきます!」と、スプーンを持って食べ始めた。



そんな穂風の頭を、片肘つきながら撫でる。



穂風がきょとんと俺の顔を見た。



「食べないの?」



そう言って俺にオムライスの乗ったスプーンを差し出してくる。



スプーンをくわえつつ、穂風の頭を撫で続ける俺。



「変なの」

「いや、嬉しいんだよ。穂風が楽しそうにサーフィンしてて」

「夏葉のおかげ」

「だな。なんかお返しねえの?」



そう言ったらにやっと笑って俺の顔を両手で掴んでチューをかましてきた。



「俺口の中にオムライス入ってんすけど…」

「きたなーい」

「おい」



けらけら笑ってる穂風。



ったく…。



それから穂風に邪魔されながら食器を洗い、穂風を家まで送り届けた。



「ん、じゃあな」

「ありがと!」

「あ、穂風」

「ん?」



車を出ようとする穂風の腕を引いた。



そのままそっと抱き寄せる。



「お前がまたサーフィンやれたの、まじで嬉しい」

「…」

「またなんか辛いことあったら頼れよ?」

「うん…ありがと」