海よりも深くて波よりも透明

~夏葉~

最近ずっと海にいる穂風。



海が自分の居場所と分かったと言ってた。



俺も、穂風は海が一番似合うと思う。



すげえ嬉しい…。



すっかり穂風の相棒になった黄色のボディボード。



まだサーフボードを持つ気持ちにはなれないらしい。



だけど、たまにサーフィンするときのようにテイクオフ(※波に乗るためにサーフボードに立ち上がること)しようとする動きをしているのを俺は知ってる。



身体にサーフィンの動きが染みついてるんだな…。



海を上がった穂風と俺の家へ。



一緒に風呂場でシャワーを浴びる。



「砂~」



身体中から2人分の砂が出てくる。



「目つぶって」

「んー」



穂風の頭からシャワーをかけて砂を落とす。



今日は波が若干荒れていていつもよりも砂まみれだ。



風呂から上がっていつも通り穂風の髪を乾かしてやる。



俺が貸したTシャツをぶかぶかに着てる穂風がいつものことながら可愛い。



「ん、終わった」

「次あたしが乾かす~」

「いいわ別に」

「たまにはいいじゃん~風邪引くよ?」



まあ甘えとくか…。



穂風にドライヤーを渡し交代。



「かゆいところはないですか~?」

「それシャンプーするときに聞くやつな」

「へへ」



平和だ…。



「はい、乾いた!」

「サンキュ」



そのまま穂風が俺の前に回り込んで、俺の膝の上に座った。



俺の腕を自分の腹に回し、テレビのリモコンを手に取る。



テレビを付けようとしたとき、天井近くに穂風の目が留まった。



そよ子さんから借りてきた赤のショートボード。