「いつもより服大人っぽいな」

「可愛いでしょ」

「可愛い」



電車に乗って、着いた美術館。



左手で穂風の手を取って館内を巡る。



穂風が新鮮そうに絵を眺めてる。



「あたし元々、美術品とかそういうの興味なかったけど、夏葉の影響でそういうのも良いなって思うようになったんだよね」



そう言って俺の顔を見て笑う穂風。



「夏葉のおかげで世界が広がったの」



んなこと言ったら俺だって…。



穂風がいるからもっと上を目指そうと思える。



穂風の存在で成長するし、知らない自分に出会ってる。



ゆっくりと館内を見て回り、グッズショップでポストカードを買ってから電車で帰った。



穂風は、慣れないところで疲れたのか俺の左肩にもたれて眠ってて。



気づいたら俺も穂風にもたれて眠ってた。



今日は寝てばっかだな…。




「えっ、穂風と夏葉じゃん!?」

「うわっ、まじだ。こんなとこでイチャついてやがる…」



そんな声が聞こえて目が覚めた。



目の前には、郁と…リアル?



「あ、起きた」

「お前らなんで…?」



郁とリアルが2人で電車に乗ってる…。



そんな仲良かったのか、こいつら…。



「何驚いてんの?」

「いや驚くだろ…。何…デート…?」

「男女が一緒にどっか出かけてすぐデートって言うの、まじやめた方がいいかんね?」



んなこと言われても…。



俺らがそんなやりとりをしてたら、穂風も目を覚ました。



それから、目の前に郁とリアルが立ってるのを見て目をパチパチさせてる。



「2人でこんなとこで何してんの?」

「郁と寿司食べに行っててその帰り~」

「郁と…寿司?」



やっぱ不思議だよな?



いつの間にそんな仲良くなったんだよって。