「桐本くんは夜の方はどうだい? 順調?」

「原田さん、それセクハラ…」

「いいじゃないか! 君と僕との仲だぞ!?」



どんな仲だよ…。



そんな仲良くなった覚えねえよ~…。



まじ帰りたい…。



1時間経ったしもういいよな!?



「原田さん、俺そろそろ…」

「はやい! まだ来たばっかりじゃないか!」



穂風待ってんのに…。



仕事回してくれてる人だから強く断れねえし…。



とりあえず穂風に遅くなるとメールする。



『大丈夫だよ! 先お風呂入って待ってる!』



健気で可愛いっす…。



そのとき、「お、夏葉じゃねえか」と言う声がした。



ばっと声の方を見ると、事務所の社長の小太郎さん。



いいとこに来た!



「小太郎さん、助けて…」

「ん? 絡まれてんのか? 任せろ」



持つべきものは知り合いの頼れる社長!



なのに…。



「ほら夏葉、お前も飲めよ〜」



最悪だよあんた…。



原田さんのペースに飲み込まれてるじゃねえか…。



早く穂風に会いてえ…。



飲み会を抜け出せないまま、さらに1時間が経った。



小太郎さんが潰れてる…。



ほんと最悪…。



「俺、社長のこと家まで送りますね」



そう言って小太郎さんを引きずってようやく飲み会を抜け出した。



車に乗って穂風に電話する。



「まじ悪い…。今から酔い潰れたおっさん家送ってから帰るから1時間ちょいかかるわ…」

《はあい。気をつけて帰ってね》



ちょっと残念そうな声。



まじで申し訳ない…。



小太郎さんを蹴るように家へ送り届け、急いで高速に乗った。



って…。