海よりも深くて波よりも透明

それから一時間ほど適当に時間を潰し、クラスのシフトが終わった穂風と合流した。



隣にはリアルもいる。



2人とも、ドレスは着替えていて、クラスのTシャツに制服のスカート。



髪の毛だけ上げている。



めちゃくちゃ女子高生って感じだ…。



こうして見ると俺と郁、すげえおっさんじゃねえか…?



「じゃあ4人で回りましょー!」



若干の場違い感を感じている俺とは違い、穂風はそんなこと気にならないらしい。



俺の腕を軽く組んで俺を見上げ、嬉しそうに歩き出した。



まあ穂風が喜んでるならなんでもいいわ…。



俺と穂風の前を歩いている郁とリアルはなんだか仲良さげに会話してる。



2人は気が合うらしい。



「夏葉ー! わたあめ!」

「おー。食うか?」

「食う!」



穂風にピンク色のわたあめを買ってやると嬉しそうに食い始めた。



今日はいつにも増して楽しそうだ。



やっぱ高校生のガキだな…。



自分でも何でか分からないが、とにかくこのガキにめちゃくちゃ惚れてるらしい。



「夏葉! クレープ!」

「へいへい…」



今度はクレープを買ってやって。



俺、穂風の都合の良いカモだったりしねえよな…?



穂風がクレープを食べながら、前を歩くリアルと郁に目をやった。



「リアルがあんなに人とあんなに仲良くするの珍し」

「そうなのか?」

「うん、ああ見えてあんまり人に心開かないもん。郁にちょっと嫉妬…」



穂風がそう言うので、ふっと笑って穂風の頭にぽんと手を乗せた。



「そんな風に思える友達がいるって幸せなことじゃねえか」

「そうかも…」



そのとき、俺らより少し先を歩いているリアルが振り返った。



「そこ2人、イチャイチャすんな~。置いてくよ」

「ごめん! 待って待って」