「耳弱いのな」



そう言って夏葉は更に優しくゆっくりとあたしの耳に触れ始めた。



「…っ」



なんとも言えない感覚が体を駆け巡る。



気持ちいい…かも…。



「可愛すぎ…」



夏葉はあたしのおでこに強めにキス。



家にいると、夏葉は唇には絶対にキスしてくれない。



大切にされてるのが嬉しかったけど、やばい、今、超不満かも…。



夏葉の膝の上に正面から乗っかって、少し腰を浮かせて夏葉の口に濃いめにキスした。



「穂風、これ以上は俺がマズイ」



夏葉がそう言って体を離す。



ううん、あたしが耐えられそうもない…。



「しよ…?」



あたしが言った。



「…言ったからな」



夏葉があたしにキスをした。



夢中でキスしながら、ゆっくりと体が倒されていく。



下から見る夏葉の顔は、いつもよりもずっとずっと素敵に見えた。



もっと触れられたい…。



キスをしながら、夏葉があたしの着ている服のお腹のところに手をかけた。



ドキドキしている心臓。



なのに、そのとき…。



《ピンポーン》




来客を告げるインターホンの音。



「…」



あたし達の間に一瞬沈黙が流れる。



「…無視するぞ」

「うん…」



夏葉がもう一度あたしにキスをしようとした。



でも、そのタイミングでまた音が鳴った。



それも《ピンポーンピンポーン》と連続で…。



「夏葉…」

「あーくそ、誰だよ…」



夏葉がそう言ってあたしの上からどいた。



「穂風、悪い…」

「しょうがないよ…」



夏葉が玄関へ行く。



ドアを開けた瞬間、夏葉が「は!? お前なにしにきたんだよ!」と大きな声を出した。



と同時に「入るぞ~」と若い男の人が夏葉を押しのけて家の中に入ってくる。