亜季と伯父は、並んで丸いすに腰をかけ、店に置かれたいくつかのテレビのうちの一つの画面を見詰めていた。


午前11時、この時間のニュースで、朝の物資投下のときの状況が放映される。

しかし最近は、大きな情報はなかった。

どうやら大学と連絡はとれないらしく、テツオの症状が報道されることは、ここ数日なかった。


亜季は気が気ではなかった。恐るべき生物兵器か撒き散らした細菌が、発病をもたらしてから数日で死亡する例がほとんどのようである。


現にあの金網の前で、亜季は地獄のような光景を見てきた。