「何だあれは?」

大学のグランド上空で、物資を投下しようとした自衛隊員の一人が、何かに気がついてそう呟いた。

それを聞いた同僚が、その隣に近寄ってヘリコプターのハッチから顔を出す。


「何か書いてあるな。」

校庭に白い字で、恐らく石灰であろうか、明らかに巨大な文字が書かれていた。その文字を二人の隊員は、じっと追った。


「ケミシトロンニ コウカアリ…。」

「何だろうな。」

二人の隊員は、その文字が何の意味を持っているのか、全く理解できなかった。


「とりあえず、本部に連絡をしてみよう。」

最初に見つけた隊員はそう言うと、運転席に備え付けられた無線機を手に取った。


そんなヘリコプター機体を、北村と尾上は、石灰に体中を汚しながらじっと見上げていた。