「運命に逆らえないんだったら、突然の死が訪れる可能性があるんだったら、今自分がしたいこと、すべきことをするべきだと思う。」

「・・・。」

「お前もそう言ってたろう?」

何も答えようとしないテツオを見て、尾上は大きくため息をつくと、急に振り返って立ちすくむ大男の尻を思いっきり蹴った。


「何するんだ。」

「かっこつけんな。役立たずは、とっとと出て行け。」

抗議するテツオに向かって、尾上は冷たく言い放った。


「こんな気休め程度の診察の手伝いよりも、お前にはすべきことがあるだろう。」

そう言って尾上は、もう一度乱暴にテツオの背中を右手で力任せに押しやった。



思わずテツオの大きな体がよろける。