夕食後
ルイーズは、エリーからもらったフレッシュハーブを抱えて調理場へ向かった。
「料理長、今いいかしら」
「ルイーズお嬢様、いかがなさいましたか?」
「今日、友人からフレッシュハーブをもらったの。明日、食事の際に出してもらえたらと思って、持ってきたの」
ルイーズは、料理長にフレッシュハーブを見てもらうため、紙袋を差し出した。料理長は紙袋を受け取ると、袋の中からハーブを取り出した。
「良い葉ですね。このミントとレモングラスは、朝食の際にハーブウォーターとしてお出ししましょう」
「ありがとう。楽しみだわ」
♢
ルイーズが部屋に戻り宿題をしていると、侍女がノックをして部屋に入ってきた。
「お嬢様、失礼いたします。今日はお出迎えできず、申し訳ございませんでした」
ルイーズのお世話をしている侍女のローラだ。母親の専属侍女で侍女長でもあるマーサの娘で、二人は幼少の頃から姉妹のように過ごしてきた。マーサは、元々ルイーズの乳母であったため、ローラはルイーズの侍女となる前から、毎日一緒にいるのが当たり前の存在なのだ。
今日は前々から休暇を取っており、同じ職場仲間で見習い料理人のジョージと外出していた。
「ローラ、大丈夫よ。それに、今日は仕事もお休みのはずでしょう? ミシェルのお世話もしてくれているのだから、お休みの日ぐらいはゆっくりしてほしいわ」
「それでも、私はお嬢様の専属侍女を自称しているのですから。侍女長はまだ認めてはくれませんが……」
「マーサも、侍女としてのローラを認めていると思うわ。でも、ミシェルの侍女が決まらないことにはね……。それに、ミシェルのお世話を任せられるのは、ローラしかいないのよ」
「はい……。奥様と侍女長も、侍女の人数を増やすことや、ミシェルお嬢様の侍女に関してのお話し合いをなされていました」
「そう……そうよね」
