なんで僕をここに連れてきたの?
雨でテニスができなくなったのなら、教室に戻れば良かっただけのことなのに。
二人だけになれる場所って……
輝星が可愛いことを言うからって……
あぁもう、心臓が肌から逃げ出しそう。
過呼吸気味の肺が限界に達しそう。
ベンチの端で体を縮めていた僕に、心配そうな声が降ってきた。
「やっぱり痛む? 右腕」
無意識に右腕をさすっていたことに気がついて、手首まで隠れていた袖を指先まで伸ばす。
首を横に振ってはみたが、霞くんの表情を確認する勇気はない。
霞くんはまだ、僕の腕の広範囲に刻まれたやけどの跡に責任を感じているんだろうな。
自分のせいだって思ってほしくないから、僕は年中長袖を着てこのヤケド痕を霞くんから隠してきたんだよ。
僕はこのヤケド痕が誇らしい。
愛おしくてたまらない。
これが消えたら僕じゃなくなってしまうとさえ思うんだ。
ねぇ教えて……
「なんで霞くんは、僕を避けるようになったの?」



