僕は顔を上げられない。
霞くんも何も話さず、お互い無言のまま。
たまに霞くんの腕が僕の背中に当たるのが心臓に悪くて。
なんか怖くて。
無性に泣きたくて。
震えが止まらなくて。
ここから逃げたい気持ちもあって。
でも本当は知りたいんだ。
霞くんの声で聞きたいんだ。
僕のことを、どう思っているのか。
さっき僕はどさくさに紛れて告白をした。
流瑠ちゃんがどんな子か説明している中で
『僕は霞くんのことが今でも大好きだから、一緒にテニスができるなんて嬉しすぎなんだけど』
なんて膨れ上がった想いを伝えてしまった。
霞くんは僕の告白をスルーだ。
聞こえていたはずなのに何も言ってはくれない。
漂う気まずい空気を一掃する術を持っていないけれど、一本の傘の下から逃げ出さない自分を褒めてあげようと思う。
僕の後頭部に霞くんの胸板が一瞬だけ触れた直後だった。
「……ごめんね」
悲しげな声が、僕の鼓膜を切なく揺らしたのは。



