「なんで大きなバックを下げてるんだろうって思ったけど、まさか折り畳み傘が出てくるなんてね。自分の欲望を詰め込んでるって、他に何が入っているか教えて欲しいよ。アハハダメだ、笑いが止まらない」
霞くんが体を揺らしながら笑うたび、彼の胸が僕の腕に当たって心地いい。
雨のシャワーが空から降ってくれているおかげだね。
霞くんのそばにいて良い理由が僕にはある。
一本の傘の下、雨宿りをしている僕らだけの世界を邪魔する人は誰もいない。
不思議なのは自分の感情で、嫌われている霞くんの前から消えなきゃなんて今は思えないんだ。
このままでいたくて。
もっと霞くんの笑顔を見たくて。
どうしたら僕のことで満開の笑顔の花を咲かせ続けてくれるかなって、頭の中はそればっかり。
笑いすぎて、目じりに涙がにじんでいる霞くんと視線が絡んだ。
ほぼ真上に麗しい王子様フェイスがあるからもちろんドキッとはしたけれど、楽しい雰囲気を崩したくなくて僕は目じりを思いっきり下げた。



