「ほんとは相合傘する推しカプをずっと見ていたいの。この日を心待ちにしてきたんだもん、小5からだよ、長すぎだよね。でも二人だけの世界を邪魔するのは絶対に嫌なんだ。でも瞳がもっともっとって欲張っちゃって、目が離せないし……あぁぁぁぁぁぁ、もう! お邪魔しました! お・し・あ・わ・せ・に!!!」
最後の方はやけくそ気味だった。
叫んで頭ぺこりで回れ右。
僕たちに背を向け駆けて行った流瑠ちゃん。
嵐が去った後のような静けさに、僕も霞くんも放心状態にならずにはいられない。
しばらくして、ぽかんと口を開けていた僕の頭上から、クスクスと楽しそうな笑い声が降ってきた。
「鈴木流瑠さんって、あんな面白い子だったんだね」
脳内にある思い出ボックスのカギが、ガチャりと開く。
霞くんを見上げたまま、懐かしいと心が震えずにはいられない。
ずっと見たかった。
子供のころの至近距離で。
心が躍っているかのように微笑む、楽しげな霞くんの表情を。



