「あっごめんごめん、私が最初に傘を渡す相手を間違えたね。テラっちに渡しちゃダメじゃんね。真っ赤なあいあい傘は攻めに持ってもらわないと、キュンが薄まっちゃうんだった」
テヘっと舌をだした流瑠ちゃんは、僕から傘を取りあげると
「てらっちを守ってあげてね、カスミ王子。あっ、なりきるのは王子じゃなくて騎士でもいいよ。私的にはどっちもおいしいから」
表情筋をだらしなく緩めながら、傘を霞くんに無理やり押しつけた。
理解不能な宇宙人並みのマシンガントークに圧倒された霞くんは、放心状態で受け取っている。
「はい、二人ともくっついて。体をぶつけあわないと大事な人が濡れちゃうよ」
強引な流瑠ちゃんに横腹を押されたせい、僕の右半身の側面が霞くんの左半身に食い込み焦る。
近いを通り越してゼロ距離になっちゃったんですけど。
心臓がバクついて息苦しい。
全細胞が生き返ったような、意味不明な生命力まで感じてしまう。
霞くんの体温は心地いい、心地よすぎだよ。
でもでも体がくっついたままなのは、気まずさの極みだし。
霞くんはこの状態をどう思っているかわからないし、確認するのも怖いし。



