地雷カプブルー


 「霞くんが風邪をひいたら困るでしょ!」

 「キミが体調を崩す方が許せない!」


 なんで怒ってるの?


 「テニスの全国大会だって控えてるのに、霞くんにとって今は大事な時期なんだから、体大事にして!」

 「まだ一か月以上も先だから問題ない! 雨が強くなってきた。いいから俺に傘を渡して!」

 「霞くんは優しいから、僕が濡れないように気をつかうもん! 霞くんがずぶぬれになるに決まってるもん!」

 「それは萌黄くんも同じでしょ!」

 「僕は風邪をひいてもすぐに直ります! 風邪をこじらせてたのは、小さい時から霞くんでした!」

 「いつの話をしているの? 中学に入ってから、俺は風邪なんてひかなくなったんだよ!」

 「ううん、そんなことない、ひいてました! 霞くんは一週間中学をお休みしたことがありました!」

 「いつ?」

 「中2の梅雨時期。霞くんは雨に濡れながら必死にテニスボールを追いかけてたから、高熱が出ちゃったんだよ、絶対に!」


 相手の体のこととなると頑固になってしまうのは、僕も霞くんも小さいころから変わらない。

 風邪をひいて欲しくないからこそ、ついむきになってしまう。