地雷カプブルー

 とりあえずお礼を言わなきゃ。

 僕たちはには頭一つ分の身長差があって、どうしても霞くんを見上げる形になってしまう。


 「ありがとう……かすみくん……」


 ジャージの長い袖から指先だけを出した状態で口元を覆ったら、霞くんは目を見開いて


 「……ごめんね輝星……抱きしめるような形になっちゃって」


 僕から目をそらしながらたどたどしい謝罪をこぼしたから、絶句。

 恥ずかしそうに耳まで赤く染めた霞くんに『気にしないで』と伝えたくて、僕は思い切り顔を左右に振る。


 「今の危なかったよな」とわりこんだのは奏多くん。

 「カスミが機転を利かせてなきゃ、輝星の顔にボール当たってたし。ちょっと俺、ボールこっちに打った奴らに文句言ってくる」


 ひたいの血管をピクつかせた奏多くんが、僕たちの前から走り去った直後だった。

 スカートとポニーテールを大きくひらめかせながら、流瑠ちゃんが猛ダッシュで僕たちの前にやってきたのは。


 心臓に手を当て息を落ち着かせたのち、流瑠ちゃんは僕ら二人を何度も何度も眺めては「はぁぁぁぁぁ~」

 両手で顔全部を覆い隠したと思ったら「さっきのヤバかったぁぁぁぁぁ」と、僕たちの前にしゃがみ込んでしまいました。