過去回想から意識を現実に戻す。
今はお昼休みです。
お弁当は食べていません。
ストレスで胃が膨らんでいて、食べ物が入り込む隙間はないからよしとします。
とりあえず誰か、僕を助けてくれませんか?
テニスコートの周りを取り囲むカスミソウ推しの女子たちの視線が突き刺さって、痛いこと痛いこと。
奏多くんにバックハグをされたからといって、霞くんから奏多くんをとったりしないからご安心をと女子たちに言って回りたい。
逆もしかり。
霞くんに嫌われている事実を重く受け止め、僕は初恋を諦めたんです。
僕にとっても霞くんと奏多くんが推しカプなんです。
霞くんと僕、奏多くんと僕は、僕にとって地雷カプなんです。
僕の代わりに霞くんとペアを組んでテニスの試合に出てもいいよというクラスメイトが現れたら、病みぎみのメンタルが回復できると思うのですが……
テニスコートから今すぐ逃げられたらと切に願う。
薄曇りの空を見上げると、あんなにギラギラだった太陽が雲に隠れていた。
僕の周りを雨雲が取り囲んでくれたら、太陽みたいに雲隠れすることができるのにな。



