ルンルン跳ねる琉留ちゃんの声同様、黒板の文字も浮かれていた。
でも僕の肝は瞬間冷凍。
北極に行って白熊とかき氷でも食べたんですか?というくらいの、冷え冷えのガチガチさ。
【諸事情により、霞くんと輝星くんでテニスの試合に出ることになりました!】
黒板に書いてある文章を見て、ドッキリだと思い込みたかった僕が失望したのは
『はいみんな、ナイスタイミングで登校してきたテラっちに拍手~』と僕を手のひらで指した流瑠ちゃんに加え、拍手パチパチでクラスメイト達が僕を取り囲んできたから。
『萌黄って、調理部だけど運動神経いいもんな』
小6まで軟式テニスに打ち込んでいたおかげか、たいていのスポーツはそこそここなせるけど。
『県大会優勝の霞と組むわけだし、絶対いい結果残せるって』
待って、期待しないで、勝手に話を進めないで。
僕はいま、テニスに出るって聞いたばかりなんだよ。



