「萌黄くんは俺とペアを組みたくないと思うけど一日だけ我慢して、クラスのために」

 「あっうん、クラスのためにね……って、、、ん?」

 
 待って待って。

 霞くんとペア?

 一日だけ我慢?

 何の話をしているの?


 「萌黄くん、もう一つだけいい?」

 「はっ、はい」


 脳内がパニック。

 なぜか敬語になっちゃった。


 「校内でキスをするなら、人目につかないところを選んだ方がいいと思うよ。調理室もテニスコートから見えたりするから」


 え? 今、キスって言った? 

 それこそ何の話?

 全く身に覚えがないんですけど。


 聞きたいことは山ほどある。

 なんで霞くんは、寝ている僕の隣に立っていたの?

 なんで久々に話しかけてくれたの?

 渡されたこの小箱は何?

 テニス? ペア? キス? 

 えええ、なになになに???


 でもでも、なにから質問していいかわからない。

 とりあえず視線を近づけたいと、座っていた僕は勢いよく立ち上がった。

 でも無意味だった。

 だって……


 「明日からよろしく」

 霞くんは僕に背を向けると、冷たい響きを残しバスから降りてしまったんから。