尻すぼみになった霞君の声は、最後の方が聞き取れなかった。

 僕は目をぱちくりせずにはいられない。

 だって霞くんの表情がおかしすぎなんだもん。
 

 何か恥ずかしいことでもあった?

 霞くん、顔が赤い。

 耳まで真っ赤だよ。


 視線を僕からそらし口元を手で隠している。

 伝染しちゃうからそんな顔しないで。

 僕の顔面まで熱くなり、心臓がバクバクとうなり始めちゃった。

 お互い顔を合わせられず、視線が迷子になる。

 くすぐったい空気が僕たちを包み込んでいるような気がして、どうも落ち着かない。

 僕まで得体のしれない恥ずかしさに襲われて、霞くんが何を考えているのか全く分からなくて。

 テニスが好きか聞かれたんだからちゃんと答えなきゃ。

 責任感にかられた僕は、照れ声を震わせた。


 「大好き……だよ……テニスが……」

 「あっ、テニスの方か」


 ふてくされたような声が届き、僕の心臓がズキリとうずく。

 僕、何か変なことを言っちゃった?

 霞くんの瞳があからさまに陰ってしまったことに、オロオロせずにはいられない。