極度の驚きで撫でていた手が固まる。
心臓までもが止まりそうになって焦ったが、なんとか僕の生命は維持し続けている。
霞くんが……
僕に話しかけてくれた……
心停止を免れた心臓はしだいに暴れだし、脈が異常なほど速く駆けはじめ、心臓と脈の乱動は一向に収まる気配がない。
どうしよう……
顔を上げられないよ……
霞くんに久々に話しかけられ、嬉しさと感動がこみあげてきた。
でも感情の大波の大部分は、恐怖が占めている。
気軽に返事をして幻滅されたらどうしよう……
もっともっと嫌われたらどうしよう……
うつむいたまま返事をしないのも、好感度が下がるよね?
何か言わなきゃ。
でも言葉が出ない。
何を話していいかわからない。
拒絶されてからの6年間、霞くんが僕に話しかけてくれますようにと星に願い続けてきたのに、実際に奇跡が起きた今は、震えうつむくことしかできないなんて。
僕のメンタルは豆腐確定だ。
弱すぎて泣きたくなるよ。
「大好き」という感情は、僕を弱くする。
「嫌われたくない」という感情も厄介もの。
一歩踏み出す勇気をガラスのごとく、粉々に砕いてしまうんだ。



