どれくらい放心状態のまま、バスに揺られていただろう。
俺はカバンから手のひらサイズの箱を取り出した。
しわくちゃでギュっと潰れたおにぎりぐらいの大きさの塊を、丁寧に撫でる。
ところどころ黒く焦げていて、愛おしさと一緒に悲しみがこみあげてきた。
同じ失敗を繰り返してはダメだ。
あの時の絶望は二度と味わいたくない。
生きた心地がしなかった。
輝星が死んじゃったらどうしよう……
俺の命を代わりに差し出すから、輝星だけは助けて……
あの時、必死に願ったんだ。
涙が止まらなかった。
地獄をさまよっている気分だった。
今も変わらず、輝星の幸せを願っている。
たとえ隣にいる相手が俺じゃなくても。
ただ……
苦しい。
しんどい。
輝星のそばにいたい。
俺が隣で輝星を守り続けたい。
この病みすぎた恋心をどう処理すればいいか、そろそろ誰か教えてよ。
6年以上も俺は、悲しみの業火に焼かれ続けているんだから。



