『テニスでお前とダブルス組む萌黄って、さっきバス停にいた奴だよな?』
その通り、輝星のことだけど……って……
ん?
ダブルスを組む?
俺と?
『ペアの片方はテニス部員以外って決まりあるけど、あいつテニスできるわけ?』
待って待って、俺は小倉くんとペアを組む予定だよ。
『絶対にお前と決勝で当たりたい。萌黄を徹底的に鍛えとけよ』
メッセージはそれで終わっている。
追加でカンガルーがパンチを繰り出すスタンプが送られてきたけれど、頭の中がハテナだらけの俺はスタンプ一つ返す心の余裕すら持ち合わせていない。
動揺する心臓を落ち着かせたくて、目をしばたかせながら胸に手を当てた。
なんで奏多はとんでもない勘違いをしているの?
輝星はテニスには出ないよ。
彼は男女混合のドッチボールメンバーなんだから。



