髪がゆるふわな輝星は、まとっている雰囲気が陽だまりぬくぬくの癒し系。
背が低くて華奢な体格に、大きな瞳にかかる長いまつげ、愛くるしい幼顔。
心にスッと入り込む絶妙の距離感で優しく微笑まれたら、男女先輩後輩関係なくみんな好感をもってしまうようだ。
そして先生たちのお気に入りでもある。
『萌黄は将来、幼稚園の先生なんてどうだ? 子供からも保護者からも好かれること間違いなしだ』
『私は介護のお仕事が合うと思うの。老人ホームに慰労に行った時、輝星くん大人気だったでしょ。うちの孫と結婚してくれ。むこに入って欲しいなんて、みんなから腕をぐいぐい引っ張られていたし』
と、輝星の前で進路指導を始めたと思ったら
『何言ってるの先生たち! 人に好かれる才能を活かすなら、アイドルしかないでしょ!』
と、アイドルオーディションの紙を輝星の目の前に突きつける生徒までいて。
輝星はオロオロのタジタジで。
『僕は栄養士になりたいんです。先生とか介護士とかアイドルにはなりませんから』
困り果てたように両手を振る輝星を陰から見て、俺は再認識したんだ。
もう輝星は俺だけのものじゃない。
どんどん俺から離れて行っちゃうんだなって。



