心臓がドギマギする。

 悪いことをして隠れている気分だ。

 霞くん、僕が微笑んだことを不快に思ったかな? 


 教室ではどうしてもってくらい緊急性が高すぎる時しか、彼は話かけてこない。

 目が合うと秒でそらされてしまう。

 俺には関わらないでと態度で示しているみたいに。

 今も笑顔の僕とは対照的に、冷ややかな視線を突き刺されてしまった。

 悲しい。

 心臓が痛い。

 消えたい。



 どうやらこの二人は、僕に絡むつもりはないみたい。

 その点は安心したけれど……


 「何オマエ、同じバス乗ってくる奴がいたんだな」

 「彼は中学が同じだからね」


 霞くんの声色は穏やかだが、拒絶されているのがはっきりとわかってしまう。

 小学生までは僕だけに懐いてくれていた記憶が残っているだけに、これは拒絶で間違いない。