「このまま校庭を通って、校舎に入ろうか」


 「相合傘で? 傘、こんな真っ赤なだよ 霞くんは女子たちに王子様認定をさているんだから、絶対に目立っちゃうよ」


 「俺は目立ちたい」


 「え?」


 「輝星と推しカプ認定をされたいんだ」


 「推しカプ認定って、流瑠ちゃんから?」


 「高校のみんなから」


 「僕たちが付き合っているって、みんなに伝えるってこと?」


 「そうすれば誰も、輝星を俺から奪おうなんてしないと思う。野生のオス感が強い奏多であっても」


 「なんで奏多くんの名前が出てきたの?」


 「いいからいいから、ほら校舎に戻ろう」


 「待って待って、本当に相合傘のまま行くの? みんなに注目されちゃう。まだ心の準備ができてないから!」



 一本の真っ赤な傘のした、逃がさないとばかりに俺は輝星の肩を抱く。



 「地雷カプじゃ絶対にダーメ」


 「え? 霞くん、それなんのこと?」


 「フフフ、輝星もちゃんとカステラを推しカプ認定してね」


 「……うっ嬉しいけど……恥ずかしすぎだよ」




 はちみつみたいに甘い俺の声は、輝星の顔だけじゃなく、首筋や耳までも赤く染め上げたのでした。