一つだけ言いたいことがある。
輝星ごめん、君は間違っているよ。
俺の愛情の方が大きいに決まっているんだ。
でも今は幸せな空気を壊したくないから、反論しないであげるけど。
「雨の中、一本の傘の下でぬくもりを確かめ合いたいのは、輝星だけだよ」
俺が耳元で囁けば、輝星は顔を俺の胸に押し当てたままうんうん頷いて。
弱っているけれどちゃんと意志を示してくれるその姿が可愛くてたまらなくて、俺は抱きしめる腕に力を込めた。
本当はずっとこのままでいたいけれど……
でも……
あることを思いつき、「ねぇねぇ」輝星の腕を軽く叩く。
潤んだ大粒の瞳が俺を見上げた。
――ほんと可愛い。
――キュンとしすぎて死神に魂を持って行かれそうになったよ。
心停止を免れた俺は、王子様風の笑顔を輝星だけに咲かせる。



