中学に上がる前、輝星を避けるようになった理由か……
ベンチに座ったまま、俺は瞳を閉じた。
言葉にするのが怖い。
本心を話して輝星にどう思われるのか。
悪い方に想像してしまい、胃がギューッと縮こまる。
でもわかって欲しい自分もいるんだ。
俺は輝星を嫌ってなんかい。
輝星に幸せになって欲しくて距離をとった。
今でも大好きなんだよって。
体操服の袖が引っ張られたと気づき、まぶたを開ける。
俺を見あげた輝星。
「僕は霞くんに嫌われるようなことしをちゃったの?」
泣きそうな瞳を弱々しく揺らしている。
違う。
輝星は悪くない。
全部俺のせいなんだ。
切なる想いを吐き出せない俺に愛想を尽かせたのか、輝星は俺から視線をそらした。
泣き出しそうな顔でうつむいていて、膝に乗せた拳をガタガタと震わせている。
「嫌われてるってわかってたのに……霞くんは僕の顔なんてもう見たくないってわかってたのに……同じ高校を受験してごめんね……」
雨音にかき消されそうな弱り声を、一音も聞き漏らしたくない俺の耳が一生懸命拾う。
まさか輝星は、俺と同じ高校に通いたくてここを受験したの?と聞き返したくてたまらない。



