みんな人だとわかってくれたらしく、コックたちも嬉しそうに笑顔で褒めてくれる。
「ちゃんと人だってわかりましたよ!」
「私もわかりました」
「性別もわかりますよ。男ですよね?」
「そうなの。これがエリオット様で、これがディラン様。そしてこれがレオン様よ」
「…………え?」
わいわい盛り上がっていた空気が一変して、急に静寂が訪れる。
笑顔だったコックたちは、なぜかみんな時が止まったように動かなくなってしまった。
ん? みんな、どうしたの?
やけに深刻な顔をしたビトが、震える指で静かにクッキーを指す。
「あの……このクッキーは、ワトフォード公爵家のご兄弟3人を描かれたのですか?」
「? そうよ」
エリオットはわざとらしい笑顔に。
ディランは眉を吊り上げて怒ったような顔に。
レオンは眠そうな顔に。
みんなの特徴をしっかり捉えたなかなかの出来だと自負している。
自分の顔のクッキーとか、絶対貰ったことないはず!
これならひと目で3兄弟のことを考えながら作ったものだとアピールできる!
我ながらナイス考え! ……のはずなのに、みんなが首を捻りながらクッキーを凝視しているのはどうしてなの……?



