「……ありがとう」
「それに、この花は上手いと思います!」
「……それ、鳥なの」
「えっ? と、鳥?」
若いコックは、周りから小声で「何やってんだ」と言われながら小突かれている。
フォローしたつもりが、さらに傷口に塩を塗ってしまったのだから無理もない。
コックたちから異様な視線を送られたビトが、次に私をフォローするべく一歩前に出てきた。
「フェリシー様。その絵があなたの持ち味なのですから、下手でも気にせず堂々と描いていいと思います」
下手ってハッキリ言ったぞ!?
フォローになってないよ!?
私にとどめを刺したビトをコックたちが真っ青な顔で見ている。
どうやらここのコックたちは、エリオットの言いつけを守り私に失礼な態度はしないようにしてくれているようだ。
どこかのメイドたちとは大違い。
とはいえ、誰も「下手じゃないよ」とは言ってくれない。
どうしよう……動物はやめたほうがいいかなぁ……。
可愛さやカッコよさが伝わらないんじゃ、アピールにならないし。
でも、男の人に花の絵のクッキーを渡すのも……。
「あっ」
ここにきて、さらに閃いてしまった。
動物や花じゃないけど、ちゃんとアピールになるような絵を──。
そうだ! あれにしよう!!



