攻略不可能なクソゲーのヒロインに転生していたので、殺される前に離脱したい 〜溺愛ルート? 何それ?〜



「何か……何か……」


 そのとき、ゲーム開始前に言ったディランの言葉が思い浮かんだ。

『そんなに俺たち兄弟に良く思われたいなら、裏工作しないで堂々とアピールしてくればいいだろ?』

 ハッと何か閃いたような感覚が走る。
 

「堂々とアピール……。3兄弟に良く思われるための……アピール……」



 そっか! ディランが求めてるのは、高級料理っぽい見た目じゃなくて、3兄弟と仲良くしたいっていう私なりのアピール!
 ただ料理を作るだけじゃダメなんだ!



 真っ暗な道に、一筋の希望の光が差し込んだ気がした。
 けれど、その光は一瞬にして消えてしまう。



 ……待って。アピールって何?
 料理でどうやって仲良くしたいことをアピールしろっていうの??



 難しい。難しすぎる。
 ちょっと料理ができる程度の一般人に、そんな器用なことができるとは思えない。



 贈り物っぽく可愛くラッピングしてみるとか?
 ……肝心の料理が見えないし、開けてもらえなかったらアウトだわ。

 ハート型のクッキーを量産してみるとか?
 ……兄弟を恋愛的な目で見てる女だって勘違いされたら大変だわ。

 クッキーに『なかよくしたい』って文字を書くとか?
 ……直球すぎてつまらないって思われそうだわ。



「ああ〜〜っ! もう! どうしよう!」

「大丈夫ですか?」

「ひぃっ!?」


 私の叫びに、すぐさまビトが反応した。
 ビトの存在をすっかり忘れていたので、驚きすぎてつい変な悲鳴を上げてしまった。



 そうだ! ビトがいたんだった!