「お前が話すなんて、よっぽどのことがあったんだろ? なんだ? あの女、何を企んでいるんだ?」
「ただ本を読んでただけだよ」
「はあ!? 本!? なんだそりゃ」
「別に。もう、いい?」
説明するのも面倒なので、早々に話を終わらせようとする。
でも、そんな回答でこの男がすんなり帰ってくれるわけがなかった。
「……あの女と一緒に男がいただろ? 付き人らしいが、どんな男だった? あの女に優しくしたりしてなかったよな?」
「誰のこと?」
「眼帯をつけた騎士だよ。あの女と一緒にいただろ」
「そんなのいたっけ?」
「…………」
言われてみれば、身代わり女の後ろに人がいたような気がしないでもない。
正直、身代わり女の持っていた紙にしか興味がなかったからよく覚えていない。
「……お前な。少しは本以外にも興味を持てよ」
「そんな必要ないでしょ」
僕の返事を聞いて、兄が額を押さえながらため息をつく。
「……はぁ。とにかく、あの女とはもう関わるな。いいな? レオン」
「…………」
「おい。なんで返事しないんだ? まさかお前、今後もあの女と関わるつもりか?」
「本を読みたいからね」
「だからなんなんだ、その本って! ……くそっ! よくわからないが、俺があの女にレオンには近づくなって言って──」
「余計なことしないで」
「!」



