攻略不可能なクソゲーのヒロインに転生していたので、殺される前に離脱したい 〜溺愛ルート? 何それ?〜



 やった――!!
 合格もらえたっ! じゃあ、早速このままジェフさんのところに……。



「あ。待って」

「はい?」


 歩き出そうとしたタイミングで、レオンが再度話しかけてくる。
 嬉しさで笑顔のまま振り返った私に、レオンは真顔でドキッパリと告げた。


「今度からあんたは絵を描いてこないで」

「……え?」

「話の内容と絵が違いすぎて邪魔だから。文字だけにしてくれる?」

「え……っと、それだと絵本にならな……」

「もう行っていいよ」

「…………」


 言いたいことだけ言って、またレオンは本に視線を戻した。
 穏やかで威圧感はないけど、この自己中っぷりは兄たちにそっくりだ。



 この……っ、悪魔兄弟の末っ子め……!!!



 グググ……と拳を握りしめて、言いたいことを我慢する。
 ここで好感度を下げられたらたまらないので、何も言わずにクルッと背を向けて歩き出した。

 ずっと近くに立っていたビトも、黙ってあとをついてくる。



 絵が邪魔って何よ!?
 イメージしやすいようにわざわざ描いたのに、内容と違いすぎるって何!?
 


 中庭からだいぶ離れた廊下で、私はピタッと足を止めた。