な、何? つまんなかった? 失格?
「頭おかしいんじゃない?」
「はあ!?」
頭おかしい!? え!?
本の感想じゃなくて、私自身がディスられてる!?
思いも寄らない言葉に、つい「はあ!?」なんて言ってしまった。
でも、そんなことはレオンは微塵も気にしていないようだ。
ムッとした様子もないまま、話を続けている。
「フルーツから赤ん坊が出てくるとか、海の中の城に行くとか、体の半分が魚の女とか……何これ?」
「そ、それは……」
それって、桃太郎と浦島太郎と人魚姫のこと?
私にとっては馴染みの話すぎて特に気になってなかったけど、そう冷静に聞かれるとたしかに変……かも。
本に関することだからか、めずらしくレオンがペラペラと話している。
こんなに話すキャラだとは思ってなかったから意外だ。
でも、そんなレオンに私はもっと意外そうな目で見られている。
意外そうというか、呆れているというか、変な女だと思われていそうというか……。
どうしよう。もっと普通の話にしたほうがよかったかな?
これじゃ本にしてもらえないかも……!
「まあ、次の展開が読めないのはおもしろいけど」
「……え?」
「それも全部本にしてってジェフに伝えて」
「いいんですか?」
「うん」
それだけ言うと、レオンはまた自分が読んでいた分厚い本に視線を戻した。
お礼を言いたいけど、今ここで言ったらきっと好感度が下がってしまうだろう。



