攻略不可能なクソゲーのヒロインに転生していたので、殺される前に離脱したい 〜溺愛ルート? 何それ?〜


「よし! 完成っ!」


 次の日。買ってきたインクを使い、白雪姫や桃太郎などひとまず5作品の絵本を完成させた。
 ドレスや鬼を描くのが大変だったけど、なかなかうまくできた気がする。


「これも絵本にしてもらえるのかな?」


 できることなら本にしてもらいたいけど、レオンの許可がないとダメかもしれない。



 1番に読ませてって言ってたし、まずはレオンのところに行かなきゃなんだよね……。
 昨日思いっきり無視されて好感度下げられたけど、今日は大丈夫かなぁ?



 この手に持っている絵本の下書き。
 これがあれば大丈夫だとは思うけど、また好感度が下がったら……と少し心配でもある。


「うーーん……不安だけど、行くしかない! これで持っていかなかったら、それはそれで好感度下がりそうだし」


 覚悟を決めて、書いた紙を全部手に持つ。


 
 レオンはこの時間、中庭にいるかな?



 そんなことを考えながら部屋のドアを開けると、目の前に人が立っていた。
 開けた瞬間にいたものだから、驚きすぎてつい悲鳴を上げてしまった。


「きゃあっ! ……ビト!?」

「驚かせてすみません。フェリシー様」


 立っていたのは、昨日私の付き人になった隠しキャラのビトだ。
 ちょうどノックをしようとしていらしく、右腕が上がっている。



 ビビビ……ビックリしたぁぁーーっ!