攻略不可能なクソゲーのヒロインに転生していたので、殺される前に離脱したい 〜溺愛ルート? 何それ?〜


 エリオットは他の兄弟と違って下がる%の幅も大きいんだよね!
 一瞬でゼロにならないように気をつけなくちゃ!



 平然を装っている私から視線を外したエリオットは、隣に立つセリーヌに声をかけた。


「セリーヌ」

「はい」

「君は花瓶を割った犯人を見たんだよね? それは誰だ?」

「フェリシー様です」

「それは本当か?」

「はい。フェリシー様は普段から我々メイドに嫌がらせをしておりまして、この花瓶も私が割ったと思わせるためにわざと……」


 まるで悲劇のヒロインのように、セリーヌは弱々しく説明している。
 私を見ないように振る舞っているのも、怯えている様子を周りに伝えるためだろう。



 ……っ!
 このメイド、本人を目の前にしてよくこんな堂々と嘘つけるわね!



 ゲーム通りの会話だけど、実際目にすると印象がだいぶ違う。
 こんな嘘をついても大丈夫な相手として舐められているのが、よーーく伝わってくる。

 さらに恐ろしいのが、壁際に立っているメイドたちがみんなうんうん頷いていることだ。
 全員で私を嵌めようとしている。



 いくらエリオットに妹と同じように接しろと命令されていても、心の中では誰も私のことをワトフォード家の1員としては見てくれていないのね。
 突然現れた孤児の平民に尽くせって言われたんだから、無理もないけど……。



 わかっていたことだけど、やっぱりどこか寂しい。
 3兄弟だけでなく、使用人からも必要とされていない自分──。



 ううん! 今はそんなこと考えてる場合じゃない!
 この答えに失敗したら、即ゲームオーバーの可能性だってあるんだから!
 まずはこのゲームに集中しなきゃ!