まさか、こんなに早い段階でルーカスに会っちゃうなんて……!
向こうは私がエリーゼの身代わりなんて知らないだろうし、別に大丈夫だよね?
ワトフォード公爵家の関係者だと気づかれないように、地味な服装をしている私。
ピンク髪で赤い瞳という特徴は隠せていないけど、まさか自分の婚約者かもしれないなんて考えは浮かばないだろう。
「ふぅ……」
ひとまずプチパニックになっていた自分をなんとか落ち着かせる。
このゲームではちょっとしたことで好感度が下がって死に向かってしまうのだから、予定外のキャラとの絡みなど勘弁願いたい。
ルーカスの好感度はないから彼自体は関係ないけど、会ったことがエリオットにバレて問題視されたらたまらないわ!
すでにルーカスは見えなくなっているけど、スタスタと足早にその場を去る。
それにしても、ルーカスってすごくいい人なのね。
3兄弟と同じように性格に難ありかと思ってたけど、そんなことはなさそう。
ゲームをクリアしたら、婚約者と結婚して幸せになれる──その言葉に嘘はなさそうだ。
「とはいえ、クリアするのは100%無理だし。エリーゼを見つけたら私には関係ない人になるんだし、考えるのはやめよう」
今は、とりあえずエリーゼを見つけること!!
それだけを考えなきゃ! 私には時間がないんだから!
グッと気合いを入れて、私は急いで家に向かった。



