レオンに言われた通り、私は他にも子どもが喜びそうな話を挿絵付きで書いていった。

 白雪姫に人魚姫、男の子も読みやすいように桃太郎や浦島太郎など。
 もちろんこの国に合わせて、名前や食べ物などについては少しアレンジを入れてある。


「これもレオンが気に入ったら本にしてもらえるのかな?」


 そんな期待を込めて書いていたけれど、途中でインクがなくなってしまった。



 ああ……終わっちゃった。
 一気に書きすぎちゃったかなぁ。



 テーブルに積み重なっている用紙を見て、はぁ……とため息をつく。
 昔から何かに熱中すると歯止めが効かなくなるのだ。
 
 ここ数日、ずっと部屋にこもって物語を書き続けていた。



 勉強用にって支給されたインクだけど、なくなったらもっと欲しいってお願いしてもいいのかな?
 でも、本当に勉強してたのか確認されたら困るしなぁ……。



 本好きで害のないレオンならともかく、私を嫌っているメイドやディランには絶対に読まれたくない。


「……自分で買いにいくか!」


 幸い、身代わりの妹としてエリオットからはお小遣いをもらっている。
 ディランに文句を言われそうでまだ1度も使ったことがなかったけど、インクなら文句を言われないだろう。



 ほんっとアイツ、小姑みたいにうるさいんだよね。
 好感度が11%しかないから仕方ないんだろうけど。