攻略不可能なクソゲーのヒロインに転生していたので、殺される前に離脱したい 〜溺愛ルート? 何それ?〜


 そんなことを考えながら、チラリとレオンに視線を向ける。
 私たちの話が聞こえていたのか、レオンは私の書いた『シンデレラ』を真剣な顔で読んでいる。



 まさかレオンにも読まれるとは……。
 本当に本が好きなんだなぁ。自分から私のいるところに来るなんて……。



 全部読み終わったらしいレオンが、紙を持ったまま顔をこちらに向けた。
 身長がほぼ変わらないため、顔がすぐ目の前にある。
 美少年すぎるその顔に圧倒されそうになったとき、レオンが口を開いた。


「これ、あんたが考えたの?」

「……え?」

「…………」

「…………」


 あまりのことに驚きすぎて、ポカンと口を開けたまま固まってしまった。
 だって、今までレオンから話しかけられたことなんてゲーム内でも1度もないからだ。



 レオンが……喋った!?!?



 これにはさすがのジェフも驚いたらしい。
 目を丸くして私とレオンを交互に見ている。



 あのレオンが話しかけてくるなんて、どういうこと!?
 あっ、でもこれも無視しなきゃいけないんだよね!?



「…………」

「…………」



 誰も声を出さないシーーンとした空気の中、私はただただジッと見つめてくる美少年を見つめ返していた。
 


 ……気まずい!! 気まずすぎる!!!
 でも、これが正解なんだよね? 早く終わってこの空気!!