実際は、長男のエリオットから使用人たちに『フェリシーをエリーゼと同じように接しろ』という命令が出ている。
冷徹なエリオットは、妹の失踪に胸を痛めてなどいないからだ。
でも、妹想いの次男ディランは違う。
エリーゼと同じ扱いをしないように、私に冷たくしろとメイドたちに命令しているのだ。
そのことにエリオットも気づいてるけど、ディランを止めてはくれないんだよね。
エリオットはほんっとに冷酷な悪魔だからなぁ……。
うーーん……どうしよう。
「メイドには相談できない。かといって他に相談できるような人も…………あっ」
そのとき、ゲームに登場したあるキャラクターが頭に浮かんだ。
初老の男性で、丸いメガネをかけた優しそうな人物──図書室を管理しているジェフさんだ。
本が大好きな三男レオンを攻略する際、よく登場する人物である。
そうだ!
ジェフさんなら優しいし、本に関することならきっと相談に乗ってくれるはず!
「そうと決まれば早速図書室に行こう!」
ガタッと椅子から立ち上がった瞬間、レオンとジェフが並んでいる図が脳裏をよぎる。
ゲーム中、何度も見た絵面だ。
……そうだ。図書室に行くと、高確率でレオンに会うんだった。
今はあんまり3兄弟には会いたくないのに!
「ううーーん……」
大丈夫……かな?
レオンに会っても声をかけなきゃ好感度は下がらないんだし、会うだけなら問題ないよね?



